金沢 兼六園にて

まだ紅葉が始まる前の、初秋の兼六園。
苔の絨毯の上には秋の訪れを感じさせるように
落ち葉がはらはらと舞落ちていました。
兼六園の名は中国の宋の時代の詩人、李格非の書いた
洛陽名園記が由来だそうです。

 洛人云う園圃の勝 相兼ぬる能わざるは六
 宏大を務るは幽邃少なし
 人力勝るは蒼古少なし
 水泉多きは眺望難し
 此の六を兼ねるは ただ湖園のみ


洛人の語る、優れた庭園の景観
兼ね備えることが難しいのはこの六つ。
宏大(広々)ならば、幽邃(静寂と奥深さ)が少なく
人力(人の力)が勝れば、蒼古(古びた趣)が少なく
水泉(滝や池)が多ければ、眺望(遠い眺め)が難しい。
この相反する素晴らしき六つの景観。
此れを共存できるのは中国、洛陽にある湖園のみである。


もともと兼六園は金沢城の外郭、城の一部だったそうです。
江戸時代を代表する林泉回遊式大庭園。
奥州白河藩主の楽翁は、この庭園の命名を依頼され
これこそ宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望
この六つの勝を兼ね備えた庭園であると
「兼六園」と名付けたとか。

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