◎よく聴く曲、または特に思い入れのある曲、弐の3。
月光
突風に埋もれる足取り
倒れそうになるのを
この鎖が 許さない
心を開け渡したままで
貴方の感覚だけが散らばって
私はまだ上手に 片づけられずに
(「月光/鬼束ちひろ」)
苦しくて倒れることができれば、まだ楽なのに
それさえも許されないことがある。
そういう状況に置かれると、まるで
永遠という檻に閉じ込められたような気がします。
一瞬で何百歳も年をとってしまうのは、そんな時。
「貴方の感覚だけが散らばっている」
なんて美しく、的確な表現だろうと思います。
詩のように散らされた歌。
ボイトレの先生に宿題として出された
初めての曲が、この鬼束ちひろの「月光」でした。
それまで口先で適当に歌うことしか知らなかった私は
「恐がらずに、お腹から声を出しなさい。」
と何度も言われてずいぶんと苦労をしました。
歌は昔から苦手で、人前で歌うのがすごくキライで。
先生の前で二人きりになると、ちっとも声が出なくて。
でも最初は難しかったけれど、お腹から歌えるように
なると本当に楽しかったです。
そんなきっかけになった、思い出の曲。 |