僕らは自分自身を隠している
本当の自分を見たくはない
だが一方で欲望が強く主張する
自虐的に、己を現実へ曝け出したいと
(坂本龍一/Thatness and Thereness)
たとえば美しい花が咲いていても
誰もそれに気づかなければ、歴史に残ることはない。
しかし花は、自分が咲いたというその事実だけで
ただ満ちたりて、散り逝くのかもしれない。
reality とはなんだろうと思います。
物体としての身体、観念としての自己、
生きてきた自分の過去、死後に残った存在感、
現在の自分。
自分から見た自分の実在。
他人から見た自分の実在。
碁盤の目のような、時と空間の接合点。
運がよければその接合点は
誰かの記憶に残ることになるかもしれない。
たとえば、数日後には枯れてしまったこの植物が
こうしてフイルムの中に残っているように。
「それ」と「そこ」は時間軸を重ねていきます。
まるで、繻子織のように美しく。
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