月を盗む

池のほとりにある石灯籠には
こちらにお日さま、あちらには月が刻まれていて
つまり太陽を覗くと、中に三日月が見えるのでした。

まるでそこに、そっと月を盗んできたように
ちいさなちいさな隠れ家になっているのでした。
 
 
 
   記憶の底に沈めた思いを
   唯解き放てば、救われるだろうか

  (「月を盗む」元ちとせ 作詞:上田現)
 
 
 
空に輝く大きな月が、地上に降りて
ひそかに灯ることがあるように
小さな悪戯が突然、宇宙の理へと
果てなく繋がることがあります。

それは、全てがどこかで輪になっていて
始まりと終わりは等しい意味だったのだと
気づくのと似ています。


光を砕いて、闇を照らすのと同じように
闇を集めて、光を象ること。
私が写真で探しているのは
こうした「陰陽」の底に沈んでいる
交わりの記憶のようなものかもしれません。
 
 

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