風の通り道

雑草にうずもれたちいさな階段は
もう長いこと、人の通った跡もなく
それが、ひとつ向こうの丘へ抜ける
通り道であることを知っているのは、
葉を揺らす風だけなのでした。

古い地図をたよりに、その
忘れられた階段を上ってみました。
風の道にはあちらにも、こちらにも
熟した木の実たちが
冬の午後、おだやかに微睡んでいました。
 
 
ふりかえると、風。
誰もいない場所、ふと気配を感じたのは
光の葉にうかぶ
生きモノのようなカタチ。

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