雑草にうずもれたちいさな階段は もう長いこと、人の通った跡もなく それが、ひとつ向こうの丘へ抜ける 通り道であることを知っているのは、 葉を揺らす風だけなのでした。
古い地図をたよりに、その 忘れられた階段を上ってみました。 風の道にはあちらにも、こちらにも 熟した木の実たちが 冬の午後、おだやかに微睡んでいました。 ふりかえると、風。 誰もいない場所、ふと気配を感じたのは 光の葉にうかぶ 生きモノのようなカタチ。