秋桜

庭にコスモスが咲きました。

秋風の中の秋桜、薄紅色の群れに
淡い透明のような白い秋桜が数本。
はかなげで、しなやかな、愛しい花。

以前、ここの家で暮らしていた奥様は、
お庭でいろいろなお花やハーブを育てていらして
この秋桜も、そのこぼれ種なのでした。
 
 
 
ウサギのまぐろさんは一進一退の体調で
真夜中に発作を起こし、看病で眠れない日もありました。

動物病院に向かう車の中で、私は言いました。
「この子にとって、これは延命治療なのかな。
 看病しても良くなることはないのに。」
運転しながら、主人は言いました。
「…でも、まぐろは幸せそうだよ。」
「そうかな。」

4時間ごとの圧迫排尿、突然の発作。
ただひたすら闘病の毎日に、悲しさがあふれてしまって
私は時々、居たたまれなくなるのでした。

「ウサギのことで、こんなに必死な私って
 頭がおかしいだろうか。」
「大丈夫だよ。そんなことは考えなくていい。」


老いに向かう、命。
看病して治る病気ではなく、消えていく灯火。
生きる意志の力を支えることだけが
私達に、出来ることなのですね。

ブリーダーのお姉さんが、障害を持ったウサギの世話をした時の話をしてくれました。
「その子は生きるのがあまりにもつらそうでね、獣医さんに安楽死をお願いしたの。そうしたら、ことわられちゃった。
『生きる力がある限り、生かせてあげなさい』って。
『安楽死は、決して安楽ではないんだよ』って。」


庭の秋桜。
まぐろはもう、眼が見えないので見ることはできません。
でもきっと、風の匂いは分かるでしょう。
鳥の声も聴こえているでしょう。

「まだ生きようと思う」
それが、どんなに凄いことなのか
私はまぐろの闘病を通して知りました。

 
 
しあわせって、どういう時に感じるだろう。
生きてて良かったなぁって、どんな時に思うだろう。

君の生きる力に
私はとことん、つきあおうと思う。
 
 

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