Oct. 6:00am, 2002

◎よく聴く曲、または特に思い入れのある曲、伍の1。


  Sweet Berry Kiss
  
  Daddy thank you for your kiss
  Did you know How much I loved you
  Daddy thank you for your kiss
  in the past, only once

 (「Sweet Berry Kiss / Cocco」
   作詞:こっこ 作曲:成田忍 )
 
 
 
さて、とうとう最後の5人目分です。
というわけで最後の「思い入れのある曲」シリーズは
フィレイン・スペシャルセレクションということで
今までアップした写真のBGMにしていた歌を。


Cocco の歌もよく聴きます。うたも声も好きです。
2002年の「Oct. 6:00am」を編集していた時は
ずっとこの曲を繰返し流していました。

あの写真を載せたのは2002年の10月27日でした。
えっ。もう3年前ですか。驚

雨上がりの綺麗な朝でした。
子供の頃から夜明けが好きです。なぜかというと
祖母に夜明けツアーに連れて行かれたからです。笑
私の祖母は横須賀に住んでいて、長い休みなどは
よく泊まりがけで遊びに行っていました。

8才くらいの時、いつものように泊まりに行きました。
眠っているとまだ薄暗い朝方に
ガサガサゴソゴソと玄関で怪しい影。
よく見たら、厚着をした祖母でした。
「おばーちゃん、なにやってんの...」
「朝焼けを見に行くのよ。」
「・・・?」
「朝の散歩よ。一緒に行く?」

時計を見たら、4時でした。
そんな時間に起きたことのない私は、なんだかわからないまま着替えて、まだすやすや眠っている母や妹を尻目に、厚着をして祖母と一緒に外へ出ました。

まだ夜明け前の空気はキンと冷えていて、吸い込むと肺がきゅっと縮むような気がしました。祖母は長い坂をずっと下りて通りを渡り、長い商店街を歩いた後に大きな閑散とした公園に入り、今度はその丘のような公園をずっとずっと登り始めました。すれ違う人もなく、ひたすら歩き続ける祖母について行きながら、どこまで行くんだろう...と思っていると、とつぜんぽっかりと展望台のように開けた場所に出ました。

「おお。おはよう。」
「あら、おはようございます。」
そこに着くと、数人のおじいさんや
おばあさん達がいました。
私を見ると、みんな珍しそうに顔をのぞき込んで
「お孫さんかね。早起きえらいねぇ。」と笑いました。
「たまちゃん、ほらほら、間に合った。」
祖母が展望台の向こうを指差しました。そちらを見ると
ちょうど太陽が水平線を昇り始めたところでした。


初めて見た、夜明けでした。
しばらく言葉もなく、私は立ちつくしていました。
おじいさんやおばあさんたちも、ただじっと、薄紫の空をあかく染めながら、少しずつ太陽が半円から丸くなっていく様子を見つめていました。

太陽が完全に白い光のかたまりになって、
空の色が見覚えのある水色になってしまうと
みんなは、またね、また明日ね、と言いながら
帰っていきました。帰り道に祖母が
「みんな、俳句の友達なのよ」と言いました。
茶人であった祖母は趣味で俳句をしていて
その仲間達が夜明けを見に集まっていたのでした。

何月だったか分からない、ただすごく寒くて
でも翌日も、その次の日も私は早起きをして
祖母と一緒に朝日を見に行きました。
何度見てもあきなかったな。


そういえば、中学校の宿題で「俳句を作ってきなさい」っていうのがあってね、まぁ五・七・五で、なんでもいいから書けみたいな宿題だったんだけども、私はうんうん悩んで書いて、でも結構よい点数をもらったのね。次の国語の授業で「上手だった人」って10人分くらいの作品がプリントに印刷されて配られたんだけども、それに選ばれて喜んじゃったりして。

んで、鼻息も荒く
祖母にそのプリントを見せました。
えっへんすごいでしょ、って。
祖母はじっと私の俳句を読んだが無言。
「....ほめられたんだよ?」と思わずいう私。汗
祖母はひとこと。

「季語が無いじゃないの。」

がーん(大ショック)


そんなこと、先生ひとことも言わなかったよーっ
たぶん芸術や教養としての学問と
実用としての宿題はちがうんだろうなと
妙に納得をした、中学1年生の冬でした。
 
 

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